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NEW ILLUSTRATORS FILE vol.5掲載作品

NEW ILLUSTRATORS FILE の最新刊の刊行直前の今回は、ペーパークラフトによる立体イラストレーションで活躍中の千葉浩司さんに注目してみました。全体としては需要が落ち込んでいる感のあるペーパークラフトの世界の中で、お問合せや依頼が増え、精力的に活躍されている、千葉さんの作品の魅力に迫ります。


略歴:東京学芸大学美術科卒業。 同大学院修士課程修了。 東京都在住。グラフィックデザイナー・美術教師を経て、1997年から造形作家として活動を始める。ペーパークラフト作品を制作。2002年 グループ展(Westwood Gallery/ニューヨーク)。2003年 グループ展(Berlin Kunstprojekt/ベルリン)など。■主な画材/木製パネル、紙、厚紙、アクリル絵具、パステルなど。■制作期間/表紙の場合は2〜3週間。■データ入稿/可。デジカメ・フィルム撮影できます。■得意なタッチ/メカニック、花、ファンタジー。■今後挑戦したい仕事/CDジャケット、文庫本の表紙、カレンダーなど。■クライアントに一言/ちょっと変わった紙の表現をお求めでしたらどうぞ。

Q1.New Illustrators FILE 掲載後の反響はいかがでしたか?
おかげさまで問い合わせや制作依頼が増えました。Q2.その他特別な営業活動はしていますか?
個人のウェブサイトを運営しています。また広く作品を見ていただくために個展やグループ展などを開催しています。

Q3.今のテイストに落ち着くまでに、改善した点はありますか?
はい、私の場合は、いろいろと試行錯誤の連続でした。初めは紙の色だけを使って造形していたのですが、どうも今ひとつ物足りない気がして。それで、絵具で色を塗ったり、パステルの色を加えたり、コラージュしたりと、実験を繰り返していました。構造的には、やはりしっかりした骨組みが必要だと感じて、素材の紙だけでなく厚紙(イラストレーション・ボード)で、作品の骨格を構成していくようになりました。

Q4.ペーパークラフトによる立体イラストレーションは、平面イラストと比べてどのような魅力があるとお考えですか?
立体的な造形なので、光と陰のバランスによって作品の表情が変化するところでしょうか。紙の持つ微妙な肌合い、造形としての形や色、加えてライティングによる演出効果が大きな魅力だと思っています。
Q5.ペーパークラフトが出来上がるまでの工程を教えてください。また、素材の紙は、特にこだわりを持って使い分けなどをしていますか?
まず、モチーフを決めてアイデアスケッチをします。次に、スケッチをもとに、木製パネルに厚紙(イラストレーション・ボード)で骨組みを作ります。そして素材の紙に鉛筆で下描きをして切り抜き、必要なパーツを作っていきます。各パーツを組み合わせて造形します。着色する場合は、アクリルガッシュやパステ
ル等で着彩します。最後に、完成した作品の写真を撮影します。このように極めてアナログな手法です(笑)素材の紙は、制作する作品の雰囲気によって使い分けています。よく使う紙は、マーメイドやミューズコットン、カラーケントなどです。マーメイドは、表面がデコボコしていて独特のマチェールがあり、パステルや絵具のノリが良いので気に入っています。

Q6.ペーパークラフトでの表現が特に活かせるような仕事や相性のよいモチーフは何だと思いますか?
ペーパークラフトは一般的にコントラストがあり色彩がはっきりしているので、やはり雑誌などの表紙に向いているのではいかと思います。それからポスターも面白いと思います。最近は、コンピュータ・グラフィックスで作られた立体表現が多いので、かえって新鮮に映るのではないでしょうか。紙での表現ということを楽しんで見ていただければ、モチーフについては特に選ばないと思います。

Q7.国内だけでなく、精力的に海外でも作品発表をされているようですが、海外での反響はいかがですか?
2002年にニューヨークでグループ展、2003年にドイツのベルリンでグループ展に参加しています。どちらもSF的なテーマの作品を出品しました。Gallery&Studio誌(N.Y.)やFine Art誌(Europe)に作品評を載せていただいたりと、日本より海外の方が好印象でした。日本では珍しい種類の作品と見られることが多いのですが、欧米では「Paper Sculpture:紙彫刻」というジャンルで定着しているためでしょうか、すんなり受け入れられたようです。
Q8.影響を受けたアーティストや物事はありますか?
マグリットやダリなどシュールレアリズム、フェルナン・クノップフなど象徴派の画家が好きです。それからオフィーリアのエバレット・ミレーも好きです。現代作家では、レコード・ジャケットを制作していたデザイン・スタジオのヒプノシスが大好きで、Pink Floydなどのレコードをいくつもコレクションしています。それからSF作家のフィリップ・K・ディックもお気に入りです。

Q9.クライアントへの自分の作品のPRポイントを教えて下さい
作品の表現方法は、ひとつにこだわらず幅広くとらえています。紙で描いたイラストというより、半立体の造形と考えていただけると分かりやすいと思います。

Q10.これから挑戦してみたい仕事や作品のテイストを教えて下さい。
ポスターやCDジャケット、カレンダーの仕事などに挑戦してみたいですね。文庫本の表紙も面白そうです。SFや花のモチーフが多いのですが、もっとアート感覚な作品も作っていきたいと思っています

造形作家として、国内に留まらず積極的な活動をされている千葉さん。ひとくちにペーパークラフトとはいっても、千葉さんの作品には独特の世界やストーリーが拡がり「作家」としての一面を感じずにはいられません。また、紙で創られているとは信じがたい程、リアルな質感の金属。落ち葉の端から覗く回路が、作品に不思議なエッセンスを与え、CGや平面的な作品には真似のできない存在感を放っています。色々と制約が多く、不利な立体イラストレーションですが、千葉さんの精力的な活動や、「実際にあるもの」の確かな説得力にイラストレーションの新しい風を感じました。今後の活躍を大いに期待しています。

 


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