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「SEIBUTSU−アーティストが表現する静物・生物」の刊行を記念して、現在、花の静物画を中心に描き続けている画家・坂口國男さんをお迎えしてお話を伺いました。華やかな色彩を巧みに重ねて独特の世界観を構成する画家の絵画への思いと作品について、貴重なお話をお届けいたします。

プロフィール
1938年東京都生まれ。1968年東京藝術大学大学院修了。1970〜75年フランス政府給費留学生として渡仏。1976年〜89年東京セントラル絵画館・高島屋・日本橋三越個展。1976年〜98年黎の会同人。1988年〜2004年金沢美術工芸大学教授。無所属。
2006.6/5よりアーティストが表現する静物.静物を記念しART BOXにて個展

充実していた渡仏時代
東京藝大の大学院修了後、1970年からフランス政府給費留学生として渡仏、パリ国立高等美術学校とマルセイユ・リュミニィ建築美術学校で学びました。パリにいた当時はゆとりはなかったけど、精神的には充実していました。画家として将来に対する不安を抱えていましたが、たまらなくなるとパレットに絵の具を出して、混ぜていたものです。しかし、たまには映画を観たりカフェでお茶を飲む楽しみもありました。モンパルナスの、ピカソやモディリアーニらが集ったカフェ・ロトンドの6階に住んでいたのです。当時モンパルナスタワーは建築中で、窓からはバルザックの像が見えました。近くには画材屋もたくさんあり、画材屋帰りの仲間たちが家に寄ったりして、お互いに刺激しあっていました。歴史あるイタリアの風景に惹かれて
パリは混沌としながら美しい街でしたし、光溢れるニースやカンヌ、海の香りがするマルセイユなど、フランスはとても好きだったのですが、最近は、ベネツィアなどイタリアの風景の方に興味を持っています。ローマ時代から続く歴史を持っているだけあって、建物も自然も、イタリアはヨーロッパの中でも格が一段上だと思います。この頃では、ヨーロッパに行く機会があれば、フランスを通り越してイタリアに行くようになりました。坂口レッド
アトリエでキャンパスを前にして浮かんでくるのは、画学生だった頃学んだパリの街だったり、何度も訪れているニースやベネツィアの風景だったり。心に残る風景が色彩とともに鮮やかに現れてきます。沢山の色彩を使って制作をしていますが、中でも一番好きな色は赤。学生の頃は仲間たちに「坂口レッド」と称されていたほどで、今でも赤には特別の思い入れがあります。しかし、赤は使いこなすのが難しい色でもありますね。
たくさんの色彩を使う喜び
私にとって絵は「心」です。花を描いていても、その花は現実にあるものではありません。花びらなども、忠実に描いてはいないのですよ。キャンバスに色を散りばめていくうちにその色が形を成していき、花になっていく、というのが私の絵画の世界です。生きている花には、実はあまり感興がわかないのです。キャンバスの中でしか咲かない造花でいいとさえ思います。だから、描かれている花の名前を質問されるのが一番困りますね。色彩を花に託して、たくさんの色彩を使える喜びを感謝しながら表現しています。
今後はゆっくりと制作に専念したい
一昨年、勤めていた金沢美術工芸大学を退官して、今はちょっと疲れが出たかなと思います。無所属で、大学の仕事も真面目に一生懸命にやってきましたが、やはり東京を長く離れすぎたようです。今後は故郷に帰ってきて、ゆっくりと制作活動に専念していきたいです。これからも変わらず「好きな色を使って自由に描く」ということを続けていこうと思っています。

「SEIBUTSU−アーティストが表現する静物・生物」の刊行を記念して開催された作品展。花を中心とした静物画は、豊かで洗練された色使いとマチエールで私達に優しく語りかけてくれます。作品一覧
ヴェネツィア \136,500/水彩
たびたび訪れているというベネツィアの風景が水彩で優しく描かれています。ここに住む人々の息遣いまで感じられるような趣きが感じられます。

緑風彩花 参考作品/油彩
花器に大胆に盛られた色鮮やかな花とそれを囲むように配置された静物。NHKのドラマ「ハルとナツ」の一場面にも使用されたという、華やかで印象的な絵です。

静寂の花 参考作品/油彩
様々なトーンで使われている赤が印象的な絵です。落ち着いたイメージの中に、豊かな詩情が感じられる穏やかな静物画です。

アーティストが表現する静物・生物/年鑑
さまざまな卓上のドラマ。忘れられないイメージ。息づく生命力、存在感。「SEIBUTSU」では「静物」「生物」をテーマに展開する、現在活躍中のアーティストと作品を紹介しています。また、現代日本の絵画 vol.2へも収載されております。

こぼれんばかりに咲き乱れる豊かな色の花々。溢れる色彩の中に繊細な詩情とどこか異国情緒が感じられる坂口國男さんの作品は、見る者の心まで華やかにしてくれます。穏やかに微笑みながらお話くださった姿も印象的でした。変わらずに「色彩による絵画表現」を追求し続ける坂口さんの今後のご活躍を期待しております。

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