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第14回マスターズ大賞展大賞準受賞を記念して、ART BOXギャラリーにて個展を開催した、鎌谷卓之さんをお迎えしました。マスターズ大賞展応募のきっかけや作品制作について、貴重なお話を皆様にお届けいたします。

プロフィール
1980年大阪芸術大学芸術学部美術科卒業、1980−85年パリ国立美術大学留学、1981年ル・サロン・ドゥ・カーン/名誉賞。1982−85年パリにてDior,CHANEL,YveSaintLAURENTなどのオートクチュールデザイナ−及び生地のスタイリストとして勤務。関西を中心に個展多数。
2006.12.4よりART BOX GALLERYにて個展

多くのの公募展の中からマスターズ大賞展を選んだのは何故ですか?

公募展を選ぶにあたって一番気を付けている事は、出品者を絵描きとして「真面目」に扱ってくれるかどうか、という点です。世の中、色々な人がいますから。その点、ART BOXのマスターズ大賞は、過去の入賞作品を見ていても信頼がおける公募展だと思い、今回の参加に至りました。
個展を開くことについてはどうお考えですか?期日を決めて、例えば15点制作しなければいけないと自分に課すことが出来るという点では、非常に良いと思います。また本来の絵描きというものは、自分の絵を売って食べていくのが仕事ですので、個展では常に販売に繋げるということを考えています。
絵画制作を始めたきっかけは何ですか?
父親がピアニストで、自分も子供の頃からピアニストになるべく厳しい練習をさせられ、遊び友達まで制限されるような日々を送るなか、自然と絵を描くことに気持ちが向かいました。ピアノから逃げたかったのか、幼心にお絵描きがほとんど唯一の楽しみだったという感じです。
作品のテーマについて教えてください。
私と同じく、芸術を愛する文化人であった祖父・吉右衛門の見た100年前のパリの風景ということで、1889年や1900年、万国博覧会の開催されていた頃のパリ市内を描きました。祖父と私とは遺伝子レベルでのコミュニケーションでしか会えませんが、彼が見たであろう風景を描いていると、なぜか匂いや空気や音が聞こえ、彼の心まで感じることが出来るような気がします。ルーブル美術館でのコピースト時代、シャルダンの「コマを回す少年」を模写していたとき、絵があたかも窓のようになり、絵のなかの時代にそのまま入っていけるような奇妙なタイムトラベルを経験しました。念入りに描かれた絵はまさに字のごとく「今の心」が入っています。過去の人がどう見たか、その人の思いが伝わってくる。人間は未来からではなく過去から学ぶもの、私はそう信じます。それから、この時代のフランスでは体制にどっぷり漬かっていた石の建築業界と、産業革命によって可能になった鉄産業の新進デザイナーたちとの闘いがありました。エッフェル塔は確かな技術を持った革新派の勝利の産物です。エッフェルの強い意志は、今も天高くそびえ立ち我々を勇気づけてくれている、そのようなことを表現したかったのかもしれません。
今後活動予定等について教えてください。
私の絵の将来は私にもまだ分かりません。ただ、印象派以降、何でもありという状態になっている現代美術、これは既に末期症状であると思っています。だからこそ「道に迷えば基本・原点に戻る、そうすれば必ず新たな道は拓ける」そう固く信じ、これからも絵を描き続けていきます。

マスターズ大賞展について
ART BOXマスターズ大賞展では、意欲的なシニア世代(45歳以上)を中心に、今まさに成熟しつつある作家を発掘し、サポートしてゆくことを主旨としております。今回の個展は、第14回の同展にて準大賞に輝いた鎌谷卓之さんの受賞を記念した企画展です。
次回 は'07.4.15応募締切です 結果発表

受賞作品の『「霧中幻想」吉右衛門の青春』を始めとした合計25点を出品頂いた今回の展覧会。その中でも鎌谷さんの印象に残る作品3点のエピソードを伺いました。作品一覧
忘れられた風景- Palais de Madagascar \472,500
どこか分からない、実在しない場所。祖父の残した写真を元に制作。市内に汽車や一頭立ての馬車が走っている頃。「何故この場所なのだろう?」と描いていると、写した人の気持ちが伝わってくる。

Zeppelin \735,000
エッフェル塔の建設を請け負ったエッフェルは、熟練した建設技師であり同時に優れたデザイナーでもあった。彼の人生は、技術を追求していけば個性は後から付いてくる、と我々に教えてくれている。

La Seine dormante \808,500
右手前に鉄橋、右向こうにエッフェル塔。中央には、パリ万博でフランスの軍事力を誇示するために作られた砲台。周りを鉄に囲まれた建物は当時まだ主流であった石で出来ている。19世紀末の時代描写。

専門の美術はもちろん、音楽、歴史等とにかく西洋文化に造詣の深い鎌谷さん。まるで19世紀末から20世紀初頭のフランス文化の講議でも受けているのかなと錯覚してしまうほど、理路整然とご自分の美学・哲学を語る姿が印象的でした。フランス留学、シャネルやイブ・サンローランでのデザイナー時代のお話など、実際に80年代バブル時のパリ・ファッション業界で見聞きしたエピソード等、興味深いお話が本当に盛り沢山でした。ポーランド出身の奥様とぴったり寄り添い、時折仲良さげにフランス語で会話をされる姿がとても素敵な鎌谷さん、今後のさらなるご活躍を大いに期待しています。

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