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第14回マスターズ大賞展大賞準受賞を記念して、ART BOXギャラリーにて個展を開催した、市川嘉一さんをお迎えしました。マスターズ大賞展応募のきっかけや作品制作について、貴重なお話を皆様にお届けいたします。

プロフィール
1971年滋賀県展/特選。1976年滋賀大学教育学部絵画研究室卒業。1986年山総美術登龍会/受賞。FUKUIサムホール美術展。1996年文部省海外派遣団員としてサラマンカ視察。現代洋画精鋭選抜展受賞(4回)。平和堂財団芸術奨励賞。他多数。2001年大津市芸術家派遣団員としてヴュルツブルク訪問。企画展多数。
2006.12.11よりART BOX GALLERYにて個展

沢山の公募展の中からマスターズ大賞展を選んだのは何故ですか?

関西在住ということもあって、今まで東京で個展を開催するというチャンスになかなか恵まれませんでした。ただ、一度は銀座で個展を、という気持ちは常に持ち続けていて、自分なりに努力を続け今回の応募に至ったという感じです。
個展を開くことについてはどうお考えですか?自分の制作を振り返る良いきっかけになります。目標やノルマのようなものを自ら課さないと、やはりどうしても楽なほうに流されてしまいますので、そういう意味でも非常に重要です。また今回は、あまり馴染みのない土地での個展開催ですので、多方面の方からぜひ率直な意見を聞かせていただき、今後の制作の指針に出来ればと思っています。
絵画制作を始めたきっかけは何ですか?
実は、小・中学校あたりまで、絵を描くことは苦手でした。「ここの線からはみ出てはいけない」などの制約が多く、なんとなく窮屈に感じていたんでしょう。初めて絵を描く楽しさを教えてくれたのは、高校時代に出会った恩師、芸術院会員であり日展等でも活躍されていた彫刻家、山田良定先生でした。先生からはそれまでの僕の絵に対する思い込みというか、こうあらねばならないという制限を外し、とにかく自由に描いていいんだということを教えてもらい、それからは毎日楽しくてまるで水を得た魚のように描き始めました。今でも本当に感謝しています。
作品のテーマについて教えてください。
ずっと静物画ばかり描いていました。でも、奥行きの少ない短いような感じの空間をじっと見つめ続けているうちに、今度は逆に広くて奥行きのある空間、風景を描きたいと思うようになり、それから風景画も描き始めたのです。それからいつも、光と影、そして時間、ということを考えながら制作している気がします。光と影のコントラスト。光があるから影がある。あと、時間の経過したものにとても魅力を感じます。例えば、枯れた花の美しさ。もちろん、みずみずしい花の美しさというのは分かるのですが、枯れてしまった花にも独特の美しさ、命がある。風景画が”一瞬”を捉えようとする試みなら、静物画では対象物を通じて”時の経過”を描こうとしているのかもしれません。
今後活動予定等について教えてください。
今年の夏、ギリシャへ行きました。今まで見たことのないような明るい空の色、サントリーニ島で見たエーゲ海に沈む夕陽、自然の恵みを享受しのんびりと過ごす人々の姿など本当に美しく、ぜひこれを描きたいと心から思いました。今まで描いてきたものとは少し作風が変わりそうですが、3月末の個展までには、ぜひこのギリシャの風景を幾つか仕上げたいと思っています。

マスターズ大賞展について
ART BOXマスターズ大賞展では、意欲的なシニア世代(45歳以上)を中心に、今まさに成熟しつつある作家を発掘し、サポートしてゆくことを主旨としております。今回の個展は、第14回の同展にて準大賞に輝いた市川嘉一さんの受賞を記念した企画展です。
次回 は'07.4.15応募締切です 結果発表

受賞作品の「城壁の街」を始めとした合計28点を出品頂いた今回の展覧会。その中でも市川さんの印象に残る作品3点のエピソードを伺いました。作品一覧
夏過ぎて(向日葵) \315,000
使い慣れたパレットの上に、夏過ぎて枯れてしまった向日葵をそっと置いてみる。枯れた花の美しさ。そこに確かに在る命。ものが”在る”こと。”在る”というだけで”意味”を持つということ。存在事体の美しさ。

未明のヴュルツブルク \189,000
市の企画で訪れた大津市の姉妹都市、ヴュルツブルグ。ロマンティック街道の始点となるドイツの古都。まだ夜が明けきらぬ未明の美しさ。静寂のなかに横たわる澄み切った空気。貴重な一瞬をとらえた。

オンフルール風景 \126,000
フランス、ノルマンディー地方。モネの「印象・日の出」が描かれた同じ土地で。フランスにしてはカラっとした抜けるような空気感、陽光溢れるヨットハーバー、カフェが連なり、人々は楽し気に集う。

「描写的な絵は薄っぺらくなりがちなので下地を何層も塗り重ねしっかりと土台を作ります」と、市川さん。少し離れて見ると、繊細で穏やかな雰囲気の作品も、至近距離から見ると油彩の重厚さ、力強さを放っているのはそのせいでしょうか。パッと目立つ華やかさや奇をてらったところがなく、観るものをあくまでも優しく迎え入れ、時の経過と共に少しずつ少しずつ深い味わいを醸し出していくような作風は、どこか作家ご自身のお人柄に通じるのではないかと思いました。独特の渋い色合いがとても美しいです。市川さんの今後のさらなるご活躍を期待しています。

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