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現代作家へのインタビュー第3弾は、これまでとは違う表現を求めて切磋琢磨し、戦後日本画壇に情熱を注いだ日本画家・高畑郁子さんを迎え、自身の作品についてや、これからの挑戦したいこと等、他では決して聞くことのできない貴重なお話を伺いました。

プロフィール
1951年 中村正義、星野眞吾、平川敏夫、大森運夫と中日美術教室を開始。新制作展/初入選。1959年 女流画家協会展/女流画家協会賞。1968年 初個展。1976年 創画展/創画会賞(同78、80年)。1991年 文化庁買い上げ。1995年 福井県立美術館で回顧展。2003年 豊橋美術博物館で回顧展。創画会会員。
2005.1/10よりART BOX GALLERYにて個展

独学だけど、敢えて師をあげるとしたら星野眞吾かな
画家になった理由なんてないよ。絵を描くことが好きだったし、また絵を描くことしかできなかったからね。美術学校なんて出ていないし、それこそ本当に独学だったから創画会で入選するのも結構なハードルだったと思う。日本画をやるに至った理由も特にないけど、まぁ豊橋では日本画が盛んだったから自然とそうなったんだろうね。岩絵具や箔、墨といった材料も好きだったし。何も習ったりはしていないけど、敢えて師をあげるなら旦那(星野眞吾)かな。ただ、星野とはまた全然描いているものが違うからね。※星野眞吾は抽象画。高畑郁子とは相反する作風である。
絵を描く前と後で、イメージが変わることはあまりない
その場所で見たものと私のイメージが合わさって初めて私の作品が生まれる。ほとんどイメージだから、デッサンして描いたことはないよ。デッサンして描くと模写にはなるけど、作品にはならないからね。衣裳なんかも私が勝手に「こうだったかな?」ってイメージして描いたものだから、本来の物とは全然違うと思うよ。絵を描く前と後とでイメージがズレることがほとんどない。ただ、仮面の顔は何回も描き直すよ。顔っていうのは、それだけで伝わってしまうことがすごく多いからね。
縦長の作品を描き始めたのは、ひざを悪くしたから
もともとはこういう縦長の作品じゃなくて、これらを5〜6枚合わせたくらいの大作を描いていたんだよ。岩絵具は垂れてくるから床に置いてひざをついて上から描いていたんだけど、ひざを悪くして、それが出来なくなって…。それで、このサイズになったんだよ。これなら台にも乗せられるし、座って描けるしね。西洋の文化は私の入る隙がない。やっぱり東洋的なものに惹かれる
西洋文化ってキリスト教から成り立っていて、すごく動物的な嗜好でしょ?どうも私は、そういうクリスチャンの精神を受け付けないみたい。あそこには入る隙がないんだよね。東洋の文化ってのは、仏教だから前者に比べたらもっと植物的。魚の頭を切って刺身にして食べることの方が、家畜の頭をぶった切るより、よっぽど植物的でしょう。肉は食えど魚は食わない、前者のそういう価値観や思想が根本的に理解できないんだと思う。東洋的なもの、つまり和の世界に惹かれるのは、たぶん自分に一番近いからなんだろうね。密教画と言われているけど、別にそれを意識している訳ではない
インカやマヤの遺跡は、意外に東洋的な要素が多いんだよ。中央アジア(パキスタン周辺)もそう。もちろん宗教は違うけど、私はそれぞれの宗教を意識して描いているわけじゃないから。密教画って言われているけど、私の場合は、文様の色や形が面白いから、なんていう単純な理由に他ならなかったりする。「お神楽の垂れ幕」や「守り神の人形」もそう。湿ったような東洋の神秘を感じるし、何より面白いと思ったから。実際に見て惹かれた物を記憶して、そこから得た自分のイメージを描く。私の創作はそれに尽きると思うよ。地球が小さくなって、まるで一つの集合体のよう
時代が変わって、今はどこの国の物でも簡単に手に入るようになって、食べ物だってどこの国の物を食べているのか分からなくなっている。たぶんそれは、地球が小さくなったからだと思うけど…。例えばこの先、地球上が一つになってしまったら、みんな無国籍の人間になって「私は一体誰ですか?」という疑問にぶつかると思う。そうなった時に、じゃあそれを何で証明するか。「私は日本人です」と伝えるために必要なものー私が思うに、それは日本の源流を知ることにあるんだと思う。だから私はそれを追求して、自分の解釈したイメージでそれを描く。それだけはね、唯一これからもやっていきたいことだね。
日本文化の源流を表現する試み。そして、燃え尽きたい
日本文化の源流は古事記にも記されているけれど、すごく深いところにある。それを保つんだという一方で、壊したくもある。お神楽の仮面の中央に鋭い線が入っているのは、もしかしたらそういう衝動からかもしれない。綺麗に完成された作品なんかを見ると、思わずメスを入れたくなるんだよね。でも、それも面白くなきゃできないことだと思う。私は作品を描くのが早い方だけど、キャンバスの前では常に真剣そのもの。早いなんてのはダメだ、なんて公式は私にはないから、イメージが出来ればすぐに筆を下ろす。もうそこからはキャンバスとの真剣勝負。生温い気持ちで描いたことなんてないよ。それを続けて、続けて、続けた上で、最後に燃え尽きたいと思う。

縦長の作品以外にも小品が展示された中で、画家・高畑郁子が選ぶ今回お気に入りの3点とは?※残念ながら、小品はすべて完売してしまいましたが、参考として展示された作品をホームページからご覧頂く事ができます。作品・作家のお問合せはお気軽にご連絡下さい。gallery@artbox-int.co.jp 作品一覧
想念 \3,150,000/2001年
これは、色がすごく渋くて好きだね。この顔の中央のラインは、何か壊したくなって、ピシッて入れてしまったもの。

変装かぐら \3,150,000/2003年
これは、一度張った箔を乾いてから「かさぶた」のようにポロポロ剥がした作品。ちゃんと考えながら、剥いでいくんだよ。

裳 \3,150,000/2002年
後ろの輪は、しっかり描いてしまうと重たい感じがしたので、線だけを残した。衣裳には、川が流れていたり、動物たちが上を目指していたりするんだよ。

現代日本の絵画 Vol.1 /年鑑
現代日本を代表する日本画家・洋画家99名を収載した年鑑にて高畑郁子の作品をご鑑賞下さい。

気さくにインタビューに応じてくださった高畑郁子さんは、スキー愛好者(ゴルフはやらないので)だそうです。会期中に完売してしまった小品への注文に応えるべく、愛知に戻って新たな小品を描き上げて来たサービス精神には心底驚かされました。高畑作品の魅力は、おそらく高畑さんの強い意志と、果てることのない創作意欲によるものだと思います。ギャラリーに飾られた密教画の、二つの表情(陰と陽)を持ち合わせた仮面の裏に隠された高畑さんの素顔。それを解き明かすには、まだ長い年月がかかりそうです。

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