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NEW ILLUSTRATORS FILE vol.5掲載作品

今回ご登場いただくアーティストは中村宣夫さん。現代の絵師のツールであるCGを駆使して、太平の世を謳歌した江戸時代の街並みを描く中村さん。どのような心持ちで江戸時代の風景を描いているのか、また、ご本人はやはり江戸前の心持ちで創作に打ち込んでいるのか、いろいろ気になることをうかがってみました。


略歴:1979年東京デザイナー学院商業デザイン科卒業。卒業後、デザイン事務所勤務、大手百貨店等の広告を制作。2000年からフリーで活動。広告及び美術館の建築CG、ゲームの背景CG等を制作。
■主な画材:3DCG・ソフト/3ds max、Photoshop ■制作期間:立体ですので規模によって違いがあります ■データ入稿:可能 ■得意なタッチ:リアリティある画像作り ■今後挑戦したい仕事:時代小説の装幀画、時代物図鑑、広告 ■クライアントにひと言:最善をつくし、頭の中にイメージが広がる作風にいたします。

Q1.New Illustrators FILE 掲載後の反響はいかがでしたか?
掲載後の反響は、まだありません。 Q2.その他に仕事を得るための、特別な営業活動はしていますか?
作品シートを作り色々な大手出版社にアポなしでPRに行きましたが、なかなか難しいですね。 けれども、自作サイトを見てくださった編集者やゲーム制作会社から、仕事の依頼がありました。

Q3.作品を制作するうえで気をつけていることは?
私の作品は、3DCGですので、当時の江戸の木の質感や汚れなどに気をつけています。 生活感のある質感・退色などをリアルに再現加工する事です。 太陽光と大気などの見せ方と建物の光が当たらない陰の見せ方に苦労します。

Q4.作品を制作する上でさまざまな文献をご覧になっていたり、古民家や博物館などに行かれていると思いますが、具体的にどのようなもの・ことが参考になっていますか? 文献などは、20年前から古本屋などでさがしました。 作品を作る上で当時の時代背景を知る為に、明治維新前の江戸で生活をしていた方の回顧録、幕末に来日した外国人の見聞録を読み漁りました。 その他に、江戸名所図会、古写真、式亭三馬の「浮世風呂」「浮世床」といった古典文学など、江戸に関しての本を買い集めました。
博物館は、模型の展示が主で木の質感・退色など、あまり参考にはなりませんでしたね。 風景などの浮世絵は、作者の主観が強く出ているので、同じ場所の風景でも、作者アレンジがありますし、絵のパースなど、現代の風景画と違い写実的ではないので、全体の雰囲気や活気などのみを参考にしています。
川越に住んでいますので、当時の寺院・古土蔵・古民家など沢山残っていますので、とても参考になります。 生活臭のある質感・空気感が息づいています。自宅近くの農家の蔵を見せて頂いたりもします。 100年前はまだ新しい方で、なかには300年前の蔵が健在で、木の質感の資料として写真などを撮らせて貰っています。
古写真などを参考にする時は、実際に現在カメラ撮影した場合どのように映るかを想像します。

Q5.江戸の文化は現在でも歌舞伎や落語、俳句などがさかんに行われていますが、ご自身で実際になにかやってらっしゃいますか? 実際には、ありません。 歌舞伎や落語は、江戸からの伝統が受け継がれていますが、現代風アレンジがありますので、参考にするより伝統的エンターテイメントとして楽しみたいです。 俳句は「柳多留」を読んでいます。 短い文章でも江戸の庶民の生活感が凝縮しているのでとても面白いです。

Q6.おすすめの江戸時代のアーティストはどなたですか?(絵に限らず)また、注目している(描きたい)江戸期の出来事は? ごく一般の浮世絵と違い写実的で、現代人の感性を持ったアーティスト〜式亭三馬・鍬形惠斎・葛飾北斎・長谷川雪旦。
歴史年表の出来事を制作したいと思ったことはありませんので、それよりも、ごく普通の生活感がある風景を制作し、私たちが其処に居合わせた様な、一目見て江戸の世界が頭の中に広がる様な作品を作りたいと思っています。

Q7.影響を受けたアーティストや物事はありますか?現在の作家から江戸時代の作家を含めて。 絵の作家は、つい最近ドイツで発見された〈日本橋繁盛絵巻〉、「熈代勝覧(きだいしょうかつらん)」佐野東洲画、日本橋から今川橋(現代の神田駅手前)までを描いた長さ12.3mの絵巻。
文筆作家では、「江戸名所図会」斉藤幸成著、式亭三馬の「浮世風呂」「浮世床江戸」。 江戸で生活をして見聞した方の回顧録、「江戸の夕栄」鹿島萬兵衛著。 時代小説では「半七捕物帳」岡本綺堂著。 現代作家では講談社の大江戸シリーズ(石川英輔著)。

Q8.これだけは他人に負けない!というものがあったら。
3DCG作品というと近未来的な表現をした作風が多いですが、それと全く反対の、未来ではなく過去の江戸に着目し、当時の生活環境が現代人に伝わる様な表現をしているところです。


Q9.クライアントへの自分のPRポイントを教えて下さい。
江戸人の生活習慣の中には「癒し」があると思います。 江戸時代の、不便な中でも自然の恩恵に感謝しながら快適に暮らし、人と人との関わりを大切にしていた時代の臨場感をテーマに作品を制作しています。 急速な早さで進歩してゆく現在、どこか心のゆとりが無くなりつつある今、博物館の中だけで終わってしまう江戸では無く、メディアとして広げて行くような作品作りを心がけたいと思います。 Q10. これから挑戦してみたい仕事を教えて下さい。
CGでありながら「ほっとする」様な表現や、日本人らしさを意識した作品を広告などのメディアの中で表現したいです。 外国人の目にとまる本来の日本の姿を表現した広告作りや、時代小説の装幀画も挑戦したいです。 また、来年の大河ドラマは江戸大奥の天璋院が主人公のようですが、江戸城のCG再現も試みたいと思います。

中村さんのおこたえを聞きますと、実態のない大らかな生き物のような江戸時代に対する「熱い」思いが伝わってきます。 その「熱い」おこたえには、クールな文献調査といった裏付けをしっかりなさっていることが分かりました。 CG作品で江戸時代の街並みを描くというと、一見冷たいイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、中村さんの作品は、さにあらず、江戸の人情といったものがしっかり伝わってきます。 作品の中に、着流しでを闊歩している中村さんの幻影が見えた気がするのは私だけではないかもしれません。 イラスト制作依頼