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今回は、ガラス造形家として、国内外で精力的に作品を発表し、金沢21世紀美術館や、ドイツ・デュッセルドルフ美術館をはじめ、多くの有力美術館にその作品が収蔵されている扇田克也さんにお話を伺いました。

プロフィール
1980年 金沢美術工芸大学工芸鋳金科卒業。東京ガラス工芸研究所においてガラス技法を学ぶ。 国際ガラス工芸展/'86大賞、オーサ・ブラント賞。主なパブリックコレクション:北海道立近代美術館/横浜美術館/デュッセルドルフ美術館/コーブルグ城美術館金沢21世紀美術館/サントリー美術館。他。
2005.7/18よりART BOX GALLERYにて個展

表現媒体として、ガラスを選んだきっかけ
大学では鋳金を専門としていたのですが、ガラスにはずっと興味を持っていました。ただ、どこでどうやって学べばいいのかわからず、気になりながらも卒業してから会社勤めをしていました。ある日、乗り合わせた電車の座席に置き去りにされていた雑誌の1ページに東京ガラス工芸研究所が設立された記事があり、それがガラスを始めるきかっけになったのです。ガラスという素材について
従来の鋭利、繊細といったガラスの持つイメージを覆し、光をため込む温かみを表現してきました。ガラスであるから、ガラスに見えなくてはといった考えはないのです。一見、派手な作品ではないので気付かずに通り過ぎられることも多々ありますが、ふとした瞬間に、気付いてもらえればと思います。ガラスを扱う作家の中にはよく素材を主張したアピールだったり、造形の内部に他の物質を導入することがありますが、私の場合はガラスの素材や造形だけで作品として成立するというのとは違うと思います。光の環境によって変化する「見え方」にも表現としての要素があると考えているので、素材と環境は自分にとってどちらも大切な要素なのです。今回出品されている3つのシリーズ、それぞれのコンセプトとは
HOUSE:長く作り続けている作品ですが、最近、銀箔以外の金属素材と、色ガラスの組み合わせを試みた新しいシリーズが加わりました。家のかたちというものはシンプルな形状であったとしても人に何か感じさせないではおかないように思います。そして、ガラスの色あいには好き嫌いの要素も含まれてきますが、透る光そのものには何か普遍的な優しい力を感じずにはいられません。
平面作品:ガラスと金属を一緒に焼成することで表れる表情に、自分自身の造形状の関心が絡んでくれることを期待してやっています。元々、自然界にあるものを精製して人工的な素材となったものに、熱を加えることで現れる自然的要素を生かして、ガラスでなければ出来ないものを自分自身が発見していくという面白さと、制御出来そうで、しきれない難しさを感じつつ取り組んでいます。
CUBE:無色透明のガラスを使った仕事をする際の、自分にとっての基本的な方法を整理し直し、立方体という、よりシンプルな形状へとまとめあげた新作です。表面にのみ色ガラスを使用した過去の作品のいくつかを思わせる要素を含みながらも、今までにない方向性を持った作品群として育ててゆきたいと考えています。見る人それぞれの楽しみ方を見つけて欲しい
私の作品を所有していただいている方から、夜の月明かりが偶然、窓際に置いていた作品に射し込んだ光景がとても印象深い光景だったというお話をいただきました。自然光の射すところで作品を展示して観てもらいたいです。朝日、昼の光、夕焼け、月明かりと、全てに於いて違った表情を各々に感じてもらいたいと思っています。

出展作品は、コールドキャスト技法で鋳造された、ガラスを主体としたもの。耐火石膏型の中にガラス片を詰め電気炉で焼成・溶融した後、常温までゆっくり徐冷し、鋳肌を生かし仕上げるという方法。今回は3つのタイプの作品を制作した。
FLAT
金属とガラスを同時に焼成する技法により制作されている平面作品。金属とガラスの組み合わせによる作者の関心が、平面でありながらも、透過するガラスのわずかな奥行きの中に表れています。

HOUSE
シンプルな家の形状と、内部に溜まる光により構成された造形。素材の繊細な質感と、作者の光に対する敏感な感覚を読みとることができます。

CUBE
ある形状から削ぎ落とされたような立方体は、これまでの作品がもつ要素をも残しつつ、無色透明なガラスで形成され、作者のよりシンプルな方向性への意識を想起させます。2005年の新作として発表されました。

HOUSE/ポストカードブック
ざらっとした質感の、家のかたちのガラスの中にある、静かであたたかな光のかたちの物語。

現代日本のクラフト/年鑑
現代日本を代表する工芸家 名を収載した「現代日本のクラフト」でも扇田克也の作品をご鑑賞頂けます。

一般的にガラスという素材について感じるであろう人工的であり、不可視なもの、という印象は扇田克也さんの作品には全く当てはまらない。シンプルかつ繊細な造形を透る光は、その造形の底方で、柔らかく凝縮し留まり続けているかのように見えます。作者の痕跡を含んだガラスにより可視化された光には、本来人がもつ、光に対する繊細な感覚を呼び起こすさせる力があるのかもしれません。

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